第207回 TBSラジオ番組審議会   『今年印象に残った番組・TBSラジオの放送全般に対するご意見について』

2022年12月19日(月)第207回 TBSラジオ番組審議会より

今年印象に残った番組・TBSラジオの放送全般に対するご意見について
 

審議委員(敬称略)

委員長 渡邊 久哲
副委員長 伊藤 英敏
委員

浜田 敬子 望月 優大 川口あい 児島 満理奈

 

局側アンケート閲覧者

  • 三村社長
  • 武田番組審議会担当役員
    長谷川事業創造センター長
    加藤番組審議会事務局長

 

 

・今年特に印象に残ったTBSラジオの番組はありますか?ございましたら、その理由もあわせてお書きください。


『脳盗』
◇発展途上の番組とは思いますが、文化発信装置としてのTBSラジオの1つの拠点番組になりうると感じた。言葉へのこだわりというものをとても感じたので、表現方法さえ洗練されれば今後の成長が期待できると思った。

『石橋貴明のGATE7』
◇審議会を通じて久しぶりに心躍る番組出会った気がした。放送界全体が若者向けの番組内容に移行しつつある現状で、私の様な高齢層の人間にとっては嬉しい気持ちになった。自分の若い時に強烈な印象を放っていたスポーツ選手に遠慮のない質問をぶつけていく石橋さん。結果、私の知らないゲストの姿が現れてくる楽しさは、興奮させるものがありました。

『たまむすび』
◇メディアだけでなく、ブランドや企業も生活者とのエンゲージメントをいかに高め、ファンダムを形成して「好きになってもらうか」を模索する時代に、ラジオ時代から派生してグッズ展開やオフラインイベントを、しかも武道館という規模感で(なおかつアットホームに)実現してしまうというのは、10年間の実績と赤江さんの人柄が為せる業なのだと感じました。


・TBSラジオ番組全般についてのご意見、及び今後のTBSラジオに望むことをお教えください。

◇審議対象になったどの番組においても、制作・編成に携わるスタッフの緊張感あふれる仕事ぶりがが伝わってきてとても素晴らしいと思う。今後、「TBSラジオ」という言葉から受信機やラジオ放送といった伝送路ではなく❝TBSラジオブランド❞をイメージするようになることを目指すべきだと思う。


◇営業に関していうと、テレビやラジオはマス向け広告が主体なので消費財系、2C企業が多くなりがちですが、企業のブランディングにつながるものであれば、もっと他の企業も広告を出してくれるのではないでしょうか。ネット企業では収益の中心になっているスポンサード広告のような形の音声版をもっと模索してっも良いのではと思います。


◇収益面や番組編成など様々な点で業界をリードするラジオ局として、音声コンテンツにとってピンチでもありチャンスでもあるような現在の状況をどのように乗り越えていかれるか注目しています。また、若い世代へのアプローチとして、PodcastやYoutubeなどのインターネット上のプラットフォーム展開はもちろんですが、Z世代や女性のパーソナリティを増やす施策なども推進することで聴取習慣のなかった層との距離感も縮まるのではないかと思います。


・皆様が感じられる、「TBSラジオの強み」、「TBSラジオの弱み」、「TBSラジオが改善すべき点」について是非、ご意見を聞かせていただければと思います。また、来年はPodcast番組の充実を図る計画ですが、どのような取組みが音声コンテンツ市場の醸成につながるか、ご意見があれば聞かせて頂ければ幸いです。

「TBSラジオの強み」

◇権力監視という伝統的ジャーナリズムの機能を実践する番組の存在、さらにはその番組についているリスナーの存在が一番の財産だと思う。一方、「たまむすび」の武道館イベントでも証明されたように、必ずしもジャーナリズム意識の高くない「ふつうの人たち」からの支持もしっかりある事を認識することも大切だと思います。

◇今年は安部元首相の襲撃事件、ウクライナ戦争の報道と「映像を見たくない!」と思うくらいメディアが悲惨な映像を伝えている時期に、わたしはラジオに救われました。多くの情報が流れるなか、中立的立場かつ客観的に表現できる「チキさん」「崎山記者」「澤田記者」の存在はTBSラジオにとって貴重な存在で、リスナーに安心感を与えてくれてると感じています。


「TBSラジオの弱み」

◇TBSラジオを核としたJRNを通じて、全国の人々がTBSの番組を聞いてきた約70年にも及ぶ長い歴史がある。それは地方のラジオ放送を育ててきたと言っても過言ではない。TBSラジオに学びTBSラジオを模倣しTBSラジオを手本にしてきた地方局の番組は、地元で愛され経済を活性化させ文化を育んできたものと思う。それはTBSラジオにとって強みだが、逆に地方局の特性を取り込む努力はしてきたかというと、あまりそれは感じられない。JRNのネットワークをもっと活かし、地方の話題を取り上げる、地方の人間を取り上げる、「地方創生プログラム ONE-J」のような、地方局と共同で作っていく番組を増やしていって欲しいと思う。

◇聴取者を惹きつける番組があること、好きな人に向けてグイグイ興味を深掘していくような番組が多いことはTBSラジオの強みでもあると思います。裏を返せば心地いいからつけっぱなしにしておく、リモートワークの時のBGMにはあまり向かないという点は弱みにもなるかと思います。


「ポッドキャストについて」

◇Podcasthaかなり能動的なメディアだと感じています。テレビやラジオといったマスメディアの情報には飽き足らない人たちが、わざわざ自分で探して聞きにいくので、よりコンセプトやターゲットをはっきりさせる必要があると思います。番組のスピンオフ的なものではない、もっと付加価値の高いものをつくらなければ、ファンは増えていかないのではないでしょうか。そのための体制を作れるかどうかもポイントになると思います。

◇ポッドキャストも最近は番組数が多すぎて、結局動機がなければ聞いてみようと思わないのが現状です。動機を作るという意味で、数あるポッドキャスト番組から、おすすめの番組を教えてくれるフローチャートがあるといいなと思います。
ポッドキャストはやはりスポティファイなどを通じてリスナーがそれぞれの生活や都合に合ったタイミングで聴く場合が多いと思うので、生放送であることが必ずしも大きな意味を持たない場合も多く、それよりもむしろコンテンツとして常に一定以上のクオリティが担保されていること(に対する信頼感)のほうが継続的に聴き続けるという意味では重要な場合もあると思います。

◇今のところPodcast の認知度や利用率は必ずしも高くありませんが、若年層への入り口はコンテンツとしてはタレント、メディアとしてはTiktokとの連動が有効だと思います。


・TBSラジオ番組審議会の運営、会の進行などについて、ご意見や要望などがあれば忌憚の無いご意見をお願いいたします。

◇限られた時間の中で委員の皆さんのご意見を効率的にお聞きできていると思う。多忙な方が多いのでこれ以上のご負担をお掛けするのは難しいと感じます。

◇一人ひとりの感想をもっと簡潔にして、制作サイドの方ともっと議論する時間があればいいのにとも感じています。様々な知見をお持ちの方が審議委員にいらっしゃるので、その番組に限らず、例えば今回はマネタイズについてとか、新しい視聴者を取り込むためにはどうしたらいいいのか、などテーマを決めて議論する回があってもいいと思います。

◇番組の担当プロデューサーやディレクターの方々が最初に番組のコンセプトなどをお話くださる形になったのはとても良いと感じました。そのうえで時間的な制約の中で簡単ではないと思うのですが、ディスカッション的な要素と言いますか、双方向的なやりとりがもう少しあっても良いようにも思います。また、発言の順序については必ずしも固定でなくても良いのかなと考えます。

◇昨年度に比べると専門家の方々の後追いの意見が出やすくなていて、予定調和で終わらせるのではなく、何度か言葉のキャッチボールが交わされ建設的でより深い話に繋がり、昨年度より活発に議論されていると感じます。






                                  (TBSラジオ番組審議会事務局)