第210回 TBSラジオ番組審議会   「報道特別番組『伝える~東日本大震災から12年』」

2023年3月27日(月)第210回 TBSラジオ番組審議会より
2023年3月11日(土)放送(13時00分~15時00分)「報道特別番組『伝える~東日本大震災12年』」


 

審議委員(敬称略)

委員長 渡邊 久哲
副委員長 伊藤 英敏
委員

浜田 敬子 望月 優大 川口 あい 児島 満理奈  

 

局側担当者

  • 三村社長
  • 武田番組審議会担当役員
    長谷川事業創造センター長
    三宅プロデューサー
    野口現場プロデューサー
    加藤現場ディレクター
  • 宮城事業創造センター員
  • 加藤番組審議会事務局長

 

委員の主な意見

〔審議対象番組〕
2023年3月11日(土)放送(13時00分~15時00分)
『報道特別特番「伝える~東日本大震災から12年」』。2011年の東日本大震災から12年。震災関連の報道量も減り「風化」が進んでいるといわれる一方、福島第一原発事故は収束しておらず震災の影響は続いていますが。今回、「震災の経験や教訓をどう伝え続けていくのか?」をテーマとし、災害時のSNS運用や情報の伝え方、地震や津波からの避難の在り方など、震災の経験を改めてリスナーとともに共有する番組を放送しました。パーソナリティーは荻上チキさん、南部広美さん、武田砂鉄さん。その他、被災地の放送局の記者の方などにご出演頂きました。


〔委員の主な発言〕
◇❝伝える❞という視点で、震災後12年間にわたって震災に向き合い続けた人の声をラジオを通して聴けたというのは、とても良かったと思います。放送を聞いて、震災を忘れずに被災地に触れるタッチポイントを幾つか紹介してという印象があります。こういう情報を受け取ると震災に触れることができるし、少しでも自分で調べてみようという行動に変わるような内容だったと思います。

◇❝伝える‷というテーマはとてもいいなと思いました。被災者の高齢化とか、記憶の風化とか断片的とか、話したくない人たちが出てきているとか、❝伝える❞ことの課題感が何処にあるか感じる事ができました。次の若い世代に伝えていくにはテキストとか口承以外に動画やSNSなどを活用すべきと思いますし、最近だと津波のVRとかメタバース空間を利用するなど大学の研究なども進んでいると聞きます。公共的な情報がデジタル上でどう保存され、どの様に活用されていくのかなど、本来の伝え方についての議論があるとさらに良かったと感じました


◇もう少し意識的にマイノリティーの話を入れてほしかったなとすごく思っています。番組の中で高齢者の方とか障害者の方の話をされていたのはすごく良かったなと感じました。3月11日という特別な日に、限られた時間で震災全般を伝えようとする番組構成が、基本的にマイノリティーの話を削る方向に行くと思うので、意識的に企画を盛り込む姿勢が必要だと思いました。

◇東北3県の人口のバランスが崩れているとか、廃炉の作業とかにかかわる人たちで人口が増えてきて、町が実際にどう変わっているのかなど、地元の方と東京など被災地以外の方々の情報ギャップが大きいと感じています。せめてこの日は、被災地の方とそれ以外に住む方の情報ギャップを埋めるためにも、この番組を全国の多くの人が聴いて頂けるといいなと感じました。

◇前半は何となく皆さんが❝震災被害のあった場所を外側から眺めている❞という番組の印象がありました。後半は現地にお住まいの方のインタビューがあり、これが非常に重量感のあるコメントでとても印象深く残りました。。私は福島の出身で震災時は90歳を過ぎた母が一人暮らしをしており家屋が被害を受け、電話も通じないし駆けつける事もできないという体験をしてます。そのような状況を経験している私には今回の番組は物足りなく感じました。

◇12年が経ち忘れないようにしようというのは大事かも知れませんが、現状はどうなのか、あるいは未来に向けてそれぞれの人がどう生きているのかみたいなことを、一番伝えた方がいいし、伝えるべきことだと思います。12年目というのはメディアの側からすると、ある意味でルーチン化してしまっている部分があると思います。そこをどう避けるかということが重要になってくると思います。

                                         (TBSラジオ番組審議会事務局)